「この依頼、お断りしたいけど、どう書けば角が立たない?」
そんなふうに、メール文面を前にして手が止まってしまった経験はありませんか?
ビジネスの場では「NO」を伝える場面も少なくなく、しかも相手との関係を保つ表現が求められるので悩みますよね。
伝え方を間違えると、印象が悪くなったり今後のやり取りに影響が出る可能性もあるかもしれません。
そこで、今回はビジネスメールでお断りするときに使える例文と、失礼にならない書き方のコツや注意点について紹介します!
- 断りづらい場面別の例文テンプレート
- 丁寧で柔らかいお断りメールの書き方
- トラブルを防ぐための注意点
それでは詳しくみていきましょう。
よくあるシーン別のお断りメール例文まとめ
ビジネスでは、お断りの連絡が必要になる場面が多くあります。
失礼なく断るには、場面ごとの表現や言い回しを押さえることが大切です。
ここでは、以下のような5つのケースに対応した例文を紹介します。
それぞれの状況に合わせた文面を確認し、必要に応じてアレンジして活用してみてくださいね。
仕事の依頼をやんわり断るとき
業務の依頼を断るときは、相手の信頼を損なわない表現が欠かせません。
丁寧な断り方を意識することで、今後の関係を円滑に保つことができます。
【件名】
業務ご依頼の件について【本文】
株式会社〇〇
〇〇様いつも大変お世話になっております。△△株式会社の〇〇です。
このたびは業務のご相談をいただき、誠にありがとうございます。
恐縮ではございますが、現在複数の案件を並行しており、ご希望のスケジュールでの対応が難しい状況です。
ご期待に沿えず心苦しい限りですが、時期を改めてお声がけいただければ幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
断る理由を明確かつ丁寧に伝えることで、信頼関係の維持につながりますよ。
「お断り=ネガティブ」と考えず、誠実な姿勢を示すことが大切です。
会議や打ち合わせをお断りするとき
会議や打ち合わせの欠席を伝える際は、できるだけ早めの連絡が重要です。
相手の予定や準備に配慮した文面を心がけると、丁寧な印象になります。
【件名】
〇月〇日の打ち合わせについて【本文】
株式会社〇〇
〇〇様いつもお世話になっております。△△株式会社の〇〇です。
〇月〇日に予定しておりました打ち合わせにつきまして、急な業務対応により、出席が難しい状況となりました。
ご調整いただいた中、誠に申し訳ございません。
可能であれば別日程をご相談させていただければと存じます。
何卒よろしくお願い申し上げます。
「別日程を提案する姿勢」を見せることで、信頼感と配慮が伝わります。
一方的に断るのではなく、あくまで「相談ベース」で伝えるのがポイントです。
営業やアポの申し出を断るとき
営業の連絡や訪問の依頼をお断りする場合も、相手への敬意を忘れたくないですよね。
しっかりと断りつつ、やんわりとした印象を残すことが大切ですよ。
【件名】
ご提案の件について【本文】
株式会社〇〇
営業部 〇〇様このたびはご提案のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。
ご提案内容について社内で確認しましたところ、現時点では導入の予定がなく、今回は見送らせていただくこととなりました。
せっかくのお申し出にお応えできず、申し訳ありません。
また必要性が生じた際には、ぜひ改めてご相談させてください。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
断る際も「タイミングが合えば」「またの機会に」など、やわらかな表現を入れると印象が良くなりますよね。
丁寧さの中にも前向きな気持ちが感じられるように意識しましょう。
飲み会やイベントの誘いを断るとき
飲み会やイベントを断るときは、断る理由よりも「誘ってくれた気持ち」への感謝を忘れずに伝えたいですね。
参加できないのは仕方のないことなので、丁寧に気持ちを添えることがポイントです。
【件名】
懇親会欠席のご連絡【本文】
〇〇様お世話になっております。〇〇部の△△です。
このたびは懇親会にお声がけいただき、ありがとうございました。
とても楽しみにしておりましたが、あいにく当日は所用があり参加が難しい状況です。
せっかくご案内いただいたのに、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
また次回お誘いいただけますと嬉しいです。
今後ともよろしくお願いいたします。
「楽しみにしていた」と添えることで、誘ってくれた相手への敬意がしっかり伝わります。
関係性を大切にしたいときこそ、言葉選びに気を配りましょう。
紹介やつなぎの依頼を断るとき
人や企業を紹介してほしいと依頼されたとき、どうしても対応が難しいことってありますよね。
関係性にひびを入れずに断るには、丁寧な言葉選びと誠意がとても重要です。
【件名】
ご紹介の件について【本文】
〇〇様いつも大変お世話になっております。△△の〇〇です。
このたびはご紹介のご相談をいただき、ありがとうございます。
大変恐縮なのですが、先方との関係性や状況を踏まえまして、今回はご要望にお応えするのが難しい状況です。
せっかくのお申し出に対し、このようなご返答となり申し訳ございません。
今後またタイミングが合いました際には、改めてご相談させていただければと思っております。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
紹介を断るときは、依頼そのものを否定するのではなく、「状況的に今は難しい」と伝えることが大切です。
可能であれば「今後の機会」や「別の形での協力」など、前向きな可能性を添えるようにしましょう。
丁寧に断るときのビジネスメールの基本マナー
ビジネスで断りの連絡をする場面では、相手の立場や気持ちに配慮することがとても大切です。
とくにメールでは、表情や声のトーンが伝わらない分、文章でどれだけ丁寧に伝えられるかが印象を大きく左右します。
ここでは、断りメールに必ず入れておきたい4つの基本マナーをご紹介します。
最初にお礼や感謝を伝える
どんなに断る必要がある場合でも、まずは相手の気持ちに対してお礼を伝えることが基本です。
「声をかけてもらえたこと自体がありがたい」という姿勢を示すと、断る理由も受け入れてもらいやすくなります。
- このたびはお声がけいただき、誠にありがとうございました。
- ご相談いただけたこと、大変光栄に思います。
- お気遣いいただき感謝しております。
最初にこうした言葉が入っていると、相手も気分を害しにくくなります。
断ることよりも、「受け止めた姿勢」を見せることが信頼につながりますよ。
理由は簡潔に書く
断りのメールでは、理由を長々と書きすぎないことが大切です。
回りくどく説明するよりも、簡潔で誠実な表現のほうが伝わりやすいですし、相手の負担も減りますよ。
- 現在、別の案件対応で手一杯の状況となっております。
- スケジュールの都合により、今回はご希望に添うことが難しいです。
- 社内の方針により、現段階では対応を見送らせていただいております。
曖昧な理由ではなく、事実に基づいて簡潔に伝えることで、相手にも納得してもらいやすくなります。
無理に詳しく書くより、誠意を込めた一文のほうが相手に伝わるはずです。
クッション言葉で柔らかく
そのまま断ると冷たく聞こえる内容でも、クッション言葉を添えることで印象をやわらげることができます。
「恐縮ですが」「あいにくですが」「お手数ですが」などを活用すると、相手への配慮がしっかり伝わりますよ。
- 大変恐縮ですが、今回は見送らせていただきます。
- あいにくですが、当日は別件の予定が入っております。
- お手数をおかけして申し訳ありませんが、今回はご遠慮させていただきます。
相手との関係性やシーンに合わせて、やわらかい前置きを工夫してみましょう。
丁寧な言葉づかいができていると、断る内容でも印象よく受け取ってもらいやすいです。
代案があれば添える
お断りするだけで終わるよりも、別の提案や代案を添えることで、相手への誠意がより伝わりやすくなります。
「代わりにこちらはどうでしょうか」といった一言があるだけで、印象は大きく変わりますよ。
- 〇月以降であれば調整可能ですので、改めて日程をご相談できればと思います。
- 今回は見送らせていただきますが、資料など必要であればお送りしますね。
- 別の担当者をご紹介することも可能です。ご希望があればお知らせください。
「断って終わり」ではなく、「できることはないか?」という視点を持つことが、信頼につながっていきます。
対応できないことを伝えるときほど、前向きな一文を添えるようにしたいですね。
やんわり伝えるお断りメールの書き方のコツ3選
断るメールを送るとき、「やんわり」「柔らかく」伝えることを意識するだけで、印象は大きく変わります。
ここでは、文面をやさしく見せるための3つの具体的なコツをご紹介します。
否定せずに前向きな表現にする
「できません」「無理です」といった強い否定は、相手に冷たい印象を与えてしまいます。
そういった表現の代わりに、「難しいですが〜なら可能です」といった前向きな言い回しを選びたいですね。
- ご希望の時期での対応は難しい状況です。ただ、〇月以降であればご相談可能かと存じます。
- 今すぐのお引き受けは難しいのですが、関連資料の共有は可能です。
- 残念ながら今回は見送りとなりましたが、次回はぜひご一緒できればと思います。
「できないこと」ではなく、「できること」にフォーカスして伝えるようにすると、ポジティブな印象になります。
文面の印象を少し変えるだけで、相手の受け取り方もぐっとやさしくなりますよ。
丁寧な敬語と語尾を使う
どれだけ前向きな内容でも、言葉づかいがそっけないと印象が悪くなってしまいます。
丁寧な敬語と語尾を使うことで、相手に対する思いやりをしっかり伝えられますよ。
- お忙しいところ恐れ入りますが、ご理解いただけますと幸いです。
- ご迷惑をおかけし申し訳ありませんが、何卒ご了承くださいますようお願いいたします。
- 本件につきましては、誠に恐縮ですが辞退させていただきます。
言葉づかいが丁寧であれば、断られた側も「配慮してくれている」と感じやすいです。
形式だけの敬語ではなく、気持ちが伝わる文面にしたいですね。
明確に断りつつ印象を和らげる
断る内容をあいまいにすると、相手に期待を持たせてしまうことがあります。
そのため、内容はしっかりと伝えた上で、言葉づかいでやさしさを添えるのがポイントです。
- せっかくのお声がけですが、今回は見送らせていただきます。
- 大変申し訳ありませんが、今回は対応が難しい状況です。
- ご期待に沿えず心苦しいのですが、ご理解いただけますと幸いです。
やわらかい語尾やクッション表現を意識すると、相手の気持ちを傷つけずに断ることができますよ。
文章に込める気遣いが、誠意として伝わります。
相手に伝わるお断りメールの書き方ポイント
お断りメールは、誠意を持って書いても「伝わらなければ意味がない」ですよね。
ここでは、より伝わりやすくするために押さえておきたい4つのポイントをご紹介します。
件名は分かりやすく簡潔に
メールの件名は、相手が開く前に内容を判断する重要な情報です。
件名に「お詫び」「ご連絡」「辞退の件」などを明記すると、伝えたいことがひと目で伝わりますよ。
- 【ご連絡】打ち合わせ辞退の件
- 【お詫び】ご紹介についてのご回答
- 【ご案内】懇親会欠席のご連絡
件名に迷ったときは、「何について」「どうしたか」を簡潔に書けばOKです。
相手が内容をすぐに把握できるよう意識してみましょう。
冒頭から本題へ自然につなぐ
ビジネスメールでは、いきなり結論から入ると冷たく感じられてしまうことがあります。
まずはお礼や挨拶を添えながら、少しずつ本題につなげていくよう意識したいですね。
いつもお世話になっております。
お忙しい中ご連絡いただき、ありがとうございます。
このたびはご相談の件につきまして、丁寧にご提案いただき感謝しております。
さっそく本題に入らせていただきます。
一文挟むだけでも、文面にやわらかさが生まれて印象がよくなります。
急ぎの用件でも、最初の挨拶は丁寧に入れておきたいですね。
誤解のない表現にする
断りのメールは、曖昧な言い回しや遠回しすぎる表現だと、かえって誤解を招いてしまいます。
気遣いは大切ですが、内容ははっきりと伝えるようにしたいですね。
- 今回は見送らせていただきたく存じます。
- ご希望には沿いかねますが、何卒ご了承いただけますようお願いいたします。
- 恐れ入りますが、別の方法をご検討いただければ幸いです。
やんわり伝えることと、ぼかすことは違います。
きちんと伝えるべき部分は、明確に伝えるよう心がけましょう。
結びの言葉で印象を残す
メールの最後に添える一言は、やわらかい印象を残す大切なパートです。
たとえ断りの内容であっても、前向きな言葉や気遣いが添えられていれば、好印象で終えることができますよ。
- 今後とも変わらぬお付き合いをお願い申し上げます。
- また機会がございましたら、ぜひよろしくお願いいたします。
- どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。
「またの機会に」「今後とも」などの表現を入れると、関係を大切にしている気持ちが伝わりやすくなります。
断りのあとこそ、丁寧に締めくくることを意識したいですね。
まとめ
今回は、ビジネスメールでやんわり断るための具体例やマナー、書き方のコツをご紹介しました。
お断りのメールは「失礼にならないか不安…」と感じてしまいがちですが、丁寧な言葉づかいと少しの気配りがあれば大丈夫です。
- まずは感謝やお礼の気持ちを伝える
- 理由は簡潔に、事実をやさしく表現する
- クッション言葉や代案で配慮を示す
- 語尾や結びの一言にも心を込める
断ることそのものが悪いわけではありません。大切なのは、どう伝えるかです。
今回のフレーズや例文をもとに、あなたらしい言葉で気持ちを伝えてみてくださいね。
メール1通で、相手との関係がもっと良くなることもきっとあるはずです。
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