「ビジネスの相手に出すお礼状、どうやって書けばいいかな…?」
マナー違反にならないか不安で、文面を考えるだけで時間がかかってしまいますよね。
いざ書こうとしても、堅すぎたり、逆にカジュアルすぎたりで、ちょうどいい表現が分からなくて困ってしまうことも。
そのまま送ってしまうと、「この人、ビジネスの常識がない」と思われてしまうかもしれません。
そこで、今回はお礼状の例文や、失礼にならないビジネス文書の書き方、使うときの注意点について紹介します。
- 横書きでも失礼のないお礼状の例文10パターン
- 文章の構成や敬語のマナーがしっかり分かる
- 相手に好印象を与える文面のコツとNG例
それでは詳しくみていきましょう。
すぐ使えるお礼状の例文10選!ビジネスで使える横書き文例
お礼状は、感謝の気持ちを丁寧に伝える大切なビジネスマナーのひとつです。
特に初対面や重要な取引先には、きちんとした文章で感謝を伝えることで信頼にもつながります。
横書きでも失礼にならないような文例を以下にまとめました。
それぞれの状況に合わせて使えるように、例文は横書き形式で整理しています。
ここでは、代表的なシーン別10個のケースについて順番に紹介していきます。
商談や初訪問のお礼
商談や初めて訪問したあとは、早めに感謝を伝えるお礼状を送ることで、信頼関係を築く第一歩となります。
とくに初対面の場では、文面の丁寧さが印象を左右するため、文書形式で礼を尽くすことが望ましいでしょう。
以下のような要素を盛り込むことで、誠意の伝わるお礼状に仕上がります。
- 時候の挨拶で季節感を添える
- 訪問の御礼とその際の印象を述べる
- 今後の関係を見据えた言葉を添える
以下に、初訪問後に送るお礼状の文例を紹介します。
横書きでも、丁寧な文体を心がけることで十分に礼儀が伝わりますよ。
2025年4月14日
〇〇株式会社
営業部 △△様
拝啓 陽春の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素より格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。
さて、先日はご多忙の中、初回のお打ち合わせにお時間を頂戴し、誠にありがとうございました。
貴社の取り組みやお考えを直接うかがうことができ、大変貴重な学びの機会となりました。
今後とも貴社のお力になれるよう努めてまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
末筆ながら、貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
敬具
株式会社□□
営業部 〇〇〇〇
文面から誠実さが伝わるよう、文体や語順にも気を配ることが大切です。
形式にとらわれすぎず、感謝の気持ちを自分の言葉で丁寧に表すよう意識してみてくださいね。
初めての訪問後だからこそ、一通の礼状が関係づくりの大きな一歩になることもありますよ。
契約や受注後のお礼
契約の成立や受注後には、感謝の気持ちを文書にして伝えることで、今後の関係にも良い印象を残せます。
特に大きな案件や初めてのお取引では、お礼状を丁寧に届けることで誠実さが伝わりますよ。
以下のような構成を意識すると、印象に残るお礼状になります。
- 時候の挨拶で礼儀を整える
- 契約や発注への感謝を明確に伝える
- 今後の取り組みに対する意欲を示す
以下は、契約や受注後に送る横書きのお礼状の文例です。
2025年4月14日
〇〇株式会社
営業部 △△様
拝啓 春光うららかな季節、貴社ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。
平素より格別のお引き立てを賜り、心より御礼申し上げます。
さて、このたびは弊社へのご発注を賜り、誠にありがとうございました。
貴社のご期待に沿えるよう、誠心誠意努めてまいりますので、今後とも変わらぬご厚情を賜りますようお願い申し上げます。
末筆ながら、貴社のますますのご発展と、△△様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
敬具
株式会社□□
営業部 〇〇〇〇
契約の成立や発注は、信頼の証です。
その想いに丁寧に応える姿勢を、文書で示していくことが、次の仕事にもつながっていきます。
感謝の言葉は、文面でしっかりと形に残すようにしましょう。
紹介や推薦へのお礼
人や企業を紹介・推薦していただいた際には、誠実なお礼状を通して感謝の気持ちを明確に伝えることが大切です。
特にビジネスの場面では、「信頼を預けてくださったこと」に対する敬意と感謝を、きちんと形に残すことが求められます。
以下の3点を意識すると、礼儀と誠意がしっかり伝わるお礼状になります。
- 紹介内容に具体的に触れる
- 紹介への感謝を端的に伝える
- 今後の結果報告や関係継続の姿勢を添える
以下は、紹介・推薦をいただいた後に送る横書きお礼状の文例です。
2025年4月14日
〇〇株式会社
人事部 △△様
拝啓 春爛漫の折、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素より格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、このたびは〇〇様をご紹介いただき、誠にありがとうございました。
実際にお話をうかがい、人柄やご経験にふれる中で、非常に魅力的なお方であると強く感じました。
ご信頼をお預かりしたことの重みを受けとめ、今後も誠意ある対応に努めてまいります。
末筆ながら、貴社のご発展と△△様のますますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。
敬具
株式会社□□
採用担当 〇〇〇〇
紹介や推薦は、その方の信用を背景に受け取るものです。
お礼状には、その信頼への感謝と、紹介者への敬意をしっかりと込めておくことが重要です。
紹介を受けたあとは、一通の礼状で相手とのつながりをより深めていきましょう。
面接や企業訪問のお礼
面接や企業訪問のあとには、丁寧なお礼状を送ることで、相手への敬意と誠意を示すことができます。
とくに採用面接や正式な訪問の機会では、礼状を通じて社会人としての基本姿勢が伝わるものです。
以下のような構成を意識することで、信頼感のある印象を残すお礼状に仕上がります。
- 訪問の感謝と当日の印象
- 感じたことや学びの表現
- 今後の意欲や継続的なつながりへの言及
以下は、面接や企業訪問後に送る横書きのお礼状の例文です。
2025年4月14日
〇〇株式会社
人事部 △△様
拝啓 陽春の候、貴社ますますご発展のこととお慶び申し上げます。
平素より大変お世話になっております。
さて、先日はご多用のところ、面接の機会を賜り、誠にありがとうございました。
当日は貴社の事業内容や社風について詳しくお話を伺うことができ、貴重な学びの時間となりました。
改めて貴社の一員として働けることへの意欲が高まっております。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
末筆ながら、貴社のますますのご繁栄と、△△様のご健勝をお祈り申し上げます。
敬具
〇〇大学 〇〇学部 〇〇〇〇
面接や訪問後に届く一通のお礼状は、応募者・訪問者としての礼節を示すものです。
文章の丁寧さや思いの込め方が、相手の記憶にも長く残るきっかけになりますよ。
感謝と今後への意欲を、しっかりと言葉にして届けていきましょう。
セミナーやイベント参加のお礼
セミナーやイベントに参加いただいた方には、丁寧なお礼状を送ることで、感謝の気持ちと主催側の誠意を伝えることができます。
一度きりのやり取りで終わらせず、次回以降のつながりへと発展させるためにも、心のこもった文面が大切です。
以下のような要素を盛り込むことで、相手の印象に残るお礼状になります。
- 時候の挨拶と参加への感謝
- 当日の様子や印象に触れる
- 今後のご案内や関係継続への言及
以下は、セミナーやイベント後に送る横書きお礼状の文例です。
2025年4月14日
〇〇株式会社
営業企画部 △△様
拝啓 春暖の候、貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素より格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。
さて、このたびは弊社主催の「〇〇セミナー」にご参加いただき、誠にありがとうございました。
当日はお忙しい中ご来場くださり、心より御礼申し上げます。
いただいたご感想やご質問は、今後の運営改善にも大いに参考とさせていただきます。
今後も皆さまにとって有益な情報をお届けできるよう努めてまいりますので、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
末筆ながら、貴社のさらなるご繁栄をお祈り申し上げます。
敬具
株式会社□□
セミナー事務局 〇〇〇〇
セミナー参加へのお礼をきちんと伝えることで、次回以降の信頼や参加意欲にもつながります。
ご縁を大切にする姿勢を、文面でもしっかりと伝えていきましょう。
登壇や講演をお願いした時のお礼
登壇や講演を引き受けていただいた際には、正式なお礼状を通じて、感謝の気持ちと敬意を丁寧に伝えるようにしましょう。
多忙の中、時間を割いてご協力いただいたことへの誠意ある対応が、今後の信頼関係にもつながります。
以下のような構成を意識すると、印象に残るお礼状となりますよ。
- 時候の挨拶と御礼の言葉
- 講演の内容や反響への言及
- 今後の関係継続への期待
以下は、登壇や講演の後に送る横書きお礼状の文例です。
2025年4月14日
〇〇大学
経済学部 教授 △△様
拝啓 春光うららかな季節、貴学ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、先日は弊社主催の「〇〇フォーラム」において、ご多用のところ貴重なご講演を賜り、誠にありがとうございました。
ご講演内容は非常に分かりやすく、参加者からも「今後に活かしたい」との声が多く寄せられております。
このたびは、学びの多い貴重な機会をご提供くださり、改めて深く感謝申し上げます。
今後とも変わらぬご指導とご助言をいただけましたら幸いです。
末筆ながら、貴学のさらなるご発展と、△△様のご健勝を心よりお祈りいたします。
敬具
株式会社□□
イベント事務局 〇〇〇〇
登壇のお礼は、ただの儀礼にとどまらず、感謝と尊敬を示す大切なコミュニケーションです。
その想いが文面を通じて伝わるよう、丁寧に整えましょう。
社内で協力してもらった時のお礼
社内で業務のサポートや協力を受けた際には、お礼状を通じて感謝の気持ちをきちんと伝えることが、良好な関係づくりにつながります。
とくに他部署や別チームに支援を受けた場合は、言葉にして丁寧に伝えることで、社内の信頼感が深まっていきますよ。
以下のような流れを意識すると、誠意が伝わるお礼状になります。
- 協力内容に具体的に触れる
- 感謝の気持ちを明確に述べる
- 今後の連携への期待を込める
以下は、社内で協力を受けた後に送る横書きのお礼状の文例です。
2025年4月14日
営業部 △△様
拝啓 春陽まぶしい季節、日頃よりお世話になっております。
このたびは急な依頼にもかかわらず、業務調整へのご協力をいただき、誠にありがとうございました。
おかげさまで、顧客提出用の提案書を無事に仕上げることができ、大変感謝しております。
貴部門のご対応の早さとご配慮には、改めて頭が下がる思いです。
今後とも部署を超えて、協力し合える関係を築いていければ幸いです。
まずは取り急ぎ、書面にて御礼申し上げます。
敬具
株式会社□□
総務部 〇〇〇〇
社内であっても、「言葉にして伝える」ことは大切な礼儀です。
一通のお礼状が、部署間の連携や信頼を育むきっかけになります。
取引先の異動や退職へのお礼
取引先の方が異動や退職をされる際には、これまでのご厚意に対する感謝をお礼状としてきちんと伝えることが大切です。
節目のタイミングだからこそ、心を込めた丁寧な文章が、相手の記憶に残るものになります。
以下のような構成を意識すると、誠意が伝わるお礼状になります。
- これまでの支援への具体的な感謝
- 印象的なエピソードや姿勢への言及
- 新天地での活躍や健康を祈る言葉
以下は、取引先の異動・退職後に送る横書きのお礼状の文例です。
2025年4月14日
〇〇株式会社
営業部 △△様
拝啓 春爛漫の折、貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。
平素より格別のご高配を賜り、心より感謝申し上げます。
さて、このたび△△様がご異動(またはご退職)とのご連絡をいただき、まずはこれまでのご厚情に対し、改めて深く御礼を申し上げたく存じます。
在任中は、いつも誠意あるご対応を賜り、大変心強く感じておりました。
とくに〇〇案件では、多大なるお力添えをいただきましたことが、今でも印象に残っております。
新しい環境におかれましても、変わらぬご活躍を心よりお祈りいたします。
引き続き、貴社とのご縁を大切にさせていただければ幸いです。
末筆ながら、今後のますますのご健勝をお祈り申し上げます。
敬具
株式会社□□
営業部 〇〇〇〇
人が変わる節目のときこそ、関係を大切にする姿勢が相手の心に残ります。
丁寧な言葉でこれまでの感謝を伝えることが、新しい信頼の一歩となるでしょう。
贈り物や手土産をもらった時のお礼
贈り物や手土産をいただいた際には、相手のご厚意や心配りに対して、丁寧なお礼状をもって感謝を伝えるのが礼儀です。
いただいた物への具体的な言及を交えると、気持ちのこもったお礼状になります。
以下の要素を意識することで、誠意が伝わる文面になりますよ。
- 品物の内容や印象に触れる
- 気遣いや心配りへの敬意
- 今後のお付き合いへのひとこと
以下は、贈り物や手土産をいただいた際に送る横書きお礼状の文例です。
2025年4月14日
〇〇株式会社
営業部 △△様
拝啓 春暖の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素より格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございます。
さて、このたびはご丁寧なお心遣いをいただき、誠にありがとうございました。
お贈りいただきました〇〇は、社員一同でありがたく頂戴いたしました。
温かなお心配りに触れ、大変感激しております。
今後とも変わらぬご厚誼を賜りますよう、お願い申し上げます。
末筆ながら、貴社のさらなるご発展と、△△様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
敬具
株式会社□□
総務部 〇〇〇〇
贈り物には相手の思いが込められています。
お礼状でその気持ちに丁寧に応えることが、信頼を深める一歩になりますよ。
提案やプロジェクト後のフォローのお礼
提案やプロジェクトの終了後、丁寧なフォローをいただいた場合は、きちんとお礼状で感謝を伝えることで、今後の連携にも好影響をもたらします。
特に、スムーズな進行や成果を支えてくださった対応に対しては、敬意を込めた文面が信頼の証となります。
以下のようなポイントを押さえると、誠実さが伝わるお礼状になりますよ。
- 具体的なフォロー内容への感謝
- 成果や対応の印象を伝える
- 今後の連携への期待や意欲を添える
以下は、プロジェクト終了後のフォローに対する横書きお礼状の文例です。
2025年4月14日
〇〇株式会社
開発部 △△様
拝啓 春暖の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素より格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございます。
さて、このたびは弊社〇〇プロジェクトに際し、進行中はもとより完了後においても丁寧なご対応とフォローをいただき、誠にありがとうございました。
貴社のご尽力のおかげで、当初の目標を上回る成果を得ることができました。
課題に対しても迅速にご対応いただき、非常に心強く感じております。
今後とも連携を深め、さらに良い形でご一緒できればと願っております。
末筆ながら、貴社のさらなるご繁栄と、△△様のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
敬具
株式会社□□
プロジェクト統括 〇〇〇〇
プロジェクト後の一通のお礼状が、次の協力への信頼を育てます。
関係を長く続けていくためにも、丁寧な文面で誠意を届けましょう。
横書きでも失礼にならないお礼状のマナー
お礼状は縦書きが基本とされがちですが、ビジネスでは横書きでも十分に礼を尽くせます。
ただし、形式や文面に配慮がなければ、相手に失礼な印象を与えてしまうこともあります。
ここでは、横書きのお礼状を書く際に知っておきたいマナーや基本ルールをまとめました。
基本をおさえておけば、横書きでも失礼のない印象を保つことができます。
ここからは、マナーごとに詳しく解説していきます。
あいさつ文の書き方の基本
お礼状の冒頭に入れるあいさつ文は、最初に読む部分だからこそ丁寧に整える必要があります。
文面の印象を左右する要素でもあるため、形式と気持ちのバランスが求められます。
以下の3点を意識して書くと、相手に失礼なく自然なあいさつになりますよお。
- 季節や時候のあいさつ
- 相手への日頃の感謝
- 用件につなげる自然な言い回し
次のような一文から始めると、かしこまりすぎず礼儀正しい印象になります。
- 平素より格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。
- ○○様には、いつも温かいご対応をいただき、心より感謝申し上げます。
- このたびは、○○の件につきまして御礼を申し上げたく、ご連絡差し上げました。
特に冒頭の一文には、相手に敬意を伝える意味があります。
慣れないと堅苦しく感じるかもしれませんが、基本をおさえておくと安心ですよ。
また、文章が長くなりすぎないように、2〜3行程度に収めるのが一般的です。
冒頭で好印象を持ってもらえるように、読みやすく配慮された言葉選びを意識しましょう。
あいさつ文は、丁寧さと親しみを両立させるのがコツです。
日付と宛名の正しい入れ方
お礼状を書く際は、形式的な要素である日付や宛名にも注意を払いましょう。
特にビジネスの場では、小さな形式ミスが信頼に影響することもあります。
以下の3点を意識することで、基本的なマナーを守ることができます。
- 日付は右上、宛名は本文の冒頭に
- 部署名・役職名を省略しない
- 敬称を正確に使い分ける
以下は、横書きのお礼状での宛名と日付の記載例です。
2025年4月14日
〇〇株式会社
営業部 課長 △△様
株式会社□□
営業企画部 〇〇
「様」「御中」の使い分けも重要なポイントです。
個人名には「様」、会社や部署には「御中」を使うのが一般的です。
また、役職がある場合は「役職+氏名+様」が自然な表現となります。
細かい部分まで丁寧に整えることで、相手にも好印象を与えることができますよ。
文面だけでなく、形式でも誠実さを伝えていきたいですね。
結びの言葉で印象をよくするコツ
お礼状の最後を締めくくる結びの言葉は、全体の印象を左右する大切な部分です。
文面の流れを自然に終えつつ、丁寧な余韻を残すことが求められます。
以下のようなポイントを意識すると、印象の良い締めくくりになります。
- 相手の健康や発展を祈る言葉
- 今後の関係継続への願い
- お礼とともに余韻を持たせる
以下に、ビジネス向けのお礼状で使いやすい結びの例を紹介します。
- 末筆ながら、貴社のますますのご発展と、皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
- 今後とも変わらぬご厚情を賜りますよう、お願い申し上げます。
- 引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
結びの言葉は、文面全体を整える“しめくくり”の役割を果たします。
形式的に見えても、相手を思いやる気持ちを込めることが大切です。
「よろしくお願いいたします」だけでは終わらず、感謝や願いを一言添えると印象が変わりますよ。
読み終えたときに温かい気持ちが残るような言葉選びを意識しましょう。
丁寧な締めくくりが、信頼をより深めるきっかけになります。
ビジネスで印象を上げるお礼状の書き方のコツ
お礼状は、単なる形式的な挨拶ではなく、相手との関係性を深めるきっかけにもなります。
内容次第で「丁寧な人だな」「また一緒に仕事したい」と思ってもらえることもあります。
ここでは、印象をよくするために意識しておきたい書き方のポイントをまとめました。
どれも難しいことではありませんが、意識するかどうかで仕上がりに差が出ます。
このあとの項目で、具体的にひとつずつ見ていきましょう。
丁寧で自然な言葉を使う
お礼状では、言葉づかいの丁寧さが信頼感に直結します。
とはいえ、あまりに硬すぎたり形式的すぎたりすると、距離を感じさせてしまうこともあります。
丁寧さと自然さのバランスを意識することが大切です。
- 敬語を適切に使い分ける
- 一文を短く読みやすく
- かしこまりすぎない表現を選ぶ
たとえば以下のような表現に置き換えると、より自然な印象になります。
×「貴殿におかれましては」→ ○「〇〇様には」
×「ご高配を賜り」→ ○「お力添えいただき」
×「ご査収ください」→ ○「ご確認ください」
文法として正しい敬語でも、堅苦しくなりすぎると気持ちが伝わりづらくなります。
相手にどう伝わるかを意識しながら、親しみある表現を選びましょう。
「話しかけるように丁寧に」がちょうどよい距離感です。
読み手が「気持ちがこもっている」と感じられる文面が理想ですよ。
相手との関係に合う表現を選ぶ
お礼状では、相手との関係性に合った言葉づかいや文体を使うことが求められます。
立場や距離感を無視した表現は、誠意があっても失礼に受け取られることがあります。
関係性に応じた言葉選びを意識することで、自然な印象を与えることができます。
- 初対面は敬意重視の文面に
- 親しい相手にはやや柔らかめに
- 社内と社外で使い分ける
以下のように、相手によって文面を変えることが信頼を生むきっかけになります。
- 初対面の取引先
- このたびは誠にありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。
- 社内の同僚
- 先日はご対応ありがとうございました。とても助かりました。
- 長年付き合いのある担当者
- いつも迅速なご対応をありがとうございます。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
言葉づかいひとつで、受け取る印象は大きく変わります。
関係に合わない文体は、気持ちが伝わりにくくなる原因にもなりかねません。
相手の立場を尊重した表現を選ぶことで、丁寧さと信頼感が伝わりやすくなります。
「誰に向けて書いているか」を常に意識することが、読み手に響く文面につながります。
自然な距離感を保った表現が、相手の心に届く鍵になりますよ。
形式よりも気持ちを伝えること
お礼状を書くうえで大切なのは、形式を守ることだけではありません。
相手に「本当に感謝している」と伝わるように、言葉に気持ちを込めることが最も重要です。
以下のような視点で文面を見直すと、より心に響く文章になります。
- 自分の言葉で書く
- 感謝の理由を具体的に書く
- 思いが伝わる言葉選びをする
形式やマナーを意識するあまり、気持ちが見えなくなるのは本末転倒です。
たとえば「ありがとうございました」だけでなく、「どんな点に感謝しているのか」まで書くと、印象が変わります。
例文を参考にしつつ、自分の声で届けるつもりで文面を整えてみてくださいね。
定型文では表しきれない思いこそ、読み手の心に届くものです。
文章が完璧でなくても、真心がこもっていれば、誠実さは伝わります。
一文一文に「ありがとう」の気持ちを込めることが、何よりのコツになりますよ。
お礼状で避けたいNG表現と注意点
お礼状では、丁寧に書いたつもりでも相手に誤解を与えてしまう言い回しがあります。
無意識に使ってしまいがちな表現にも注意し、適切な言葉で感謝を伝えることが大切です。
ここでは、お礼状で避けるべきNG表現と、気をつけたいポイントをまとめました。
表現の細かな違いが、印象を左右することもあります。
ここからは、避けるべき具体的な表現と改善のコツを一つずつ見ていきましょう。
上から目線に聞こえる言い方
お礼のつもりで書いた言葉でも、表現によっては上から目線に受け取られてしまうことがあります。
とくに立場の違う相手に対しては、細かな言い回しに注意が必要です。
以下のような表現は避けるよう意識しましょう。
- 「ご苦労さまでした」
- 「結構なものをいただき」
- 「〜してやった」などの恩着せがましい表現
これらの表現は、使い方を誤ると「見下された」と受け止められてしまう可能性があります。
たとえば「ご苦労さま」は、目上の人から部下に対して使う言葉です。
目上の相手に対しては「お疲れさまでした」や「ありがとうございました」が適切です。
また、「結構なものをいただき」といった表現も、上からの印象を与えることがあります。
言葉の背景にあるニュアンスを意識し、相手の立場に合わせた言い回しを選ぶようにしましょう。
ちょっとした表現の違いが、印象に大きく影響することもありますよ。
感謝が伝わりにくいあいまい表現
せっかく感謝を伝えようとしても、表現があいまいだと気持ちがうまく届かないことがあります。
「なんとなく丁寧」な言葉では、印象に残りにくく、形式的な印象を与えることも…。
以下のような言い回しには注意が必要です。
- 「いろいろとお世話になりました」
- 「このたびはありがとうございました」
- 「ご対応いただき助かりました」
これらの表現自体が間違っているわけではありませんが、具体性がないと心には残りません。
たとえば「お打ち合わせの日程調整、迅速にご対応いただきありがとうございました」と書くと、感謝の意図が明確になります。
何に対して、どのように感謝しているのかを具体的に書くことで、印象が大きく変わってきます。
読み手にとっても、「気持ちが伝わった」と実感してもらいやすくなるはずです。
抽象的な表現を避けて、感謝の内容を言葉でしっかり届けていきたいですね。
不自然な敬語や二重敬語
丁寧に書こうと意識するあまり、敬語を重ねすぎて不自然な文になってしまうことがあります。
特に二重敬語や言い回しの重複は、相手に違和感を与える原因になります。
以下のような表現には注意しましょう。
- 「ご覧になられましたでしょうか」
- 「お伺いさせていただきます」
- 「拝見させていただきました」
たとえば「拝見しました」はそれだけで十分に丁寧な表現です。
そこに「させていただきました」を重ねると、かえって不自然に感じられてしまいます。
また、「〜させていただく」の使いすぎも注意が必要です。
相手の許可を得る場面であれば自然ですが、何でもこの表現を使うと回りくどくなります。
伝えたい内容がきちんと伝わるように、過不足のない敬語を心がけましょう。
敬語は丁寧に見えて、実はシンプルな表現が一番伝わりやすいものです。
まとめ
ビジネスにおけるお礼状は、単なる形式的な文書ではなく、相手との関係性を築く大切なコミュニケーションのひとつです。
その中でも、横書きであっても失礼にならない構成や言葉づかいを意識することで、誠実な気持ちがきちんと伝わります。
今回ご紹介した文例やマナー、注意点を押さえておけば、どんな場面でも安心してお礼状を送ることができますよ。
丁寧なあいさつや具体的な感謝の言葉、そして相手に合った表現を選ぶことが、信頼感につながっていきます。
言葉ひとつで伝わる思いやりは、仕事の場面でも大きな力を発揮しますので、ぜひ今回の内容を参考に、あなたの言葉で感謝の気持ちを伝えてみてくださいね。